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第一印刷の女性スタッフが占める割合は約80%。女性ならではのきめ細やかな心配り、美しさに対しての感性、気まじめさから生まれる責任感が男性中心社会であった印刷業界を変えていきます!
お客様や仕入先の方たちに「女性社員が多いねぇ」とよく声をかけて頂きます。実は意識をして女性社員を増やしてきたわけではありません。会社が成長をさせて頂く中で、その時々に応じて必要な人材を求め、採用をしてまいりました。そして結果的に気がついたら「良い人材はみんな女性だった」というだけなのです。日本の社会において女性が会社で働こうとする場合、男性と比べてさまざまなハードルが発生します。例えば結婚であったり、懐妊、出産そして育児であったり、または介護であったり…とかく日本の社会では家庭内のことは全て女性に任されがちです。ご存じの通り大企業から零細企業まで、会社の規模にかかわらず、ひとりの人材を一人前の人財に育てていくために、大きなコストと長い時間をかけています。それらを考えると企業はどうしても採用にあたって、本当はいち番に大切であるもの=「個人それぞれがもっているスキルや意欲やキャラクタ、そして可能性」よりも、まずは「男性であるか女性であるか」が採用にあたっての大きな判定基準になってしまっているのが実情です。
私たちは採用にあたって性別よりもまず、企業人としての「ひととなり」や「向上心と情熱」をもっとも大切な採用基準にしてまいりました。しかし女性が働く場合、忙しいからといっても毎日残業することはできません。結婚して、旦那さんがいて、お子さんがいて…とそれぞれの家庭があります。いくら意欲があっても女性社員をとりまくご家族の理解が得られなければ、思う存分に働くことができないのが現実です。第一印刷では社長をはじめ、働いている社員同士それぞれの環境をお互いに理解して助け合う社風とあいまって、その社員をさまざまな形でサポートをしてくれている、その社員の旦那さん、奥さん、お子さん、親御さんなどのご家族も大切にする企業風土が形成されています。
現在、工場にいるオペレータもほとんどが女性。印刷機や加工機、それぞれ1機ごとにひとりの女性オペレータが専任でついています。「印刷や加工した製品の品質や仕上がり具合はもちろんのこと、機械の日常のメンテナンスまで責任をもって行う」ということに誇りを感じているオペレータ達が第一印刷の自慢のひとつです。
お客さまから「ちょっとした心配りがうれしいよね」とか「爽やかで清潔感があっていいよ」とか「細かいところまで目配りしてくれる」など、とてもありがたいお言葉を頂戴することがあります。これもなでしこ力に負うところが大きいのかもしれません。
製版オペレータが刷版出力直前に何となく版面に違和を感じて一旦作業を止め、デザイナーに「何か違和感を覚えるんだけど…」と戻したことで気づかないような誤植を発見できたり、お客さまに急用が入ってしまいやむを得ず校了の返事が遅れた時でも、印刷オペレーターが「大丈夫、同じ色で刷る製品を先にいれて時間調整しておくから」と営業に気遣いをしてくれたり…。男性にはままありがちな鈍感さよりも、女性ならではの細やかさが印刷という業種に合っているのだと感じています。
QCD(品質・価格・納期)では差別化が難しい印刷業界ですから「お客さまから感動をしてもらって対価(料金)を得る/セールス課里美さん」ですとか「今、目の前で刷っている仕事を評価してもらって次の仕事につなげる/印刷課高尾さん」などプロ意識をもった熱い想いで仕事に取り組んでいます。そして、お客さまから仕事でお金を頂く以上、「プロ野球選手やプロゴルファー達と同じように私もプロなんです/嶋津工場長」という意識は第一印刷全員が共有しています。プロとして納得がいかないところがあれば話し合い、問題があれば解決策を見つけ出す。このような姿勢は性別に関係はありません。仕事上では年齢なども関係がなく、言いたいことが言えて、相手の話も素直に受け入れる…コミュニケーションを大切にすることもプロしての心構えだと考えています。
私は「やる気と向上心」さえあれば、学歴・経験・年齢はもちろんのこと、男性女性の性別も関係なくどんな人でも仕事に通用できると考えています。50年近く前、私の両親も幼い私を育てながら印刷屋さんを営んでいました。父親が活版の印刷機をガチャコガチャコと動かし、母親が私を背中におぶいながらオートバイでお客様のところに御用聞きに廻っていたのです。浜松の田舎で農家の末娘として生まれた母親は、印刷の知識もなくもちろん営業の経験もなかったと思います。しかし子供を連れて一生懸命に働く母親の姿を見てお客様が注文を出してくれたり、仕入先の人たちが応援をしてくれたのだと思います。特別に勉強した経験がなかったとしても、一生懸命(=やる気と向上心)に仕事に取り組めば必ずみんなが認めてくれる、また情熱をもって働く姿を見たら必ず誰かが応援してくれる…それを母親は体現をしていました。
一生懸命に家族のために働く母親の姿を、そして息づかいを母親の背中越しに間近に感じて私は育ってきました。ですから、どうしても働くお母さんを応援してあげたくなってしまいます。
そもそも女性が増えていった理由は、意識的だったところもあったのかもしれません。お母さんがひとりでお子さんを育てている方…いわゆるシングルマザーを優先的に私は採用してきたのです。
今ではそうでもないのですが、ひと昔前の社会ではそんな女性を面接するにあたって、「もし子供が風邪をひいたら仕事はどうするの?」とか「参観会などの学校行事は仕事を休むでしょ?」などの理由や、ひとりで子供を育てる道を選んだお母さんたちに勝手に妙なレッテルを貼り、当人に会う面接の前からすでに不採用が決まっていた…という話をよく耳にしていました。つまり、採用の面接すら満足にしてもらえず、働く場所を見つけることすら決して容易ではなかったのです。だからこそ、「働きたいけど働けない」そんなお母さんたちを応援したい気持ちもあって、私は積極的に女性の採用をしてきました。
我が社で採用をさせて頂いたお母さんたちは、水を得た魚のように本当によく働いてくれています。
私には彼女たちが必要ですし、彼女たちからも働く喜びを感じられる会社でありたいと思っています。
工場長は嶋津という女性にお願いをしています。もともとは配送担当のパートさんとして採用をしました。自社で初めてオフセット印刷機を導入すると決めた時に、印刷機を回せる人材がいなかったので、嶋津さんに相談をしてみたところ「やったことはないですけど、私がチャレンジしてみます」という返事をくれました。印刷機のオペレータは男性の仕事…という印刷業界の大常識がありましたが、嶋津さんの配送でのまじめな仕事ぶりを見ていて「きっと彼女ならモノにしてくれるはずだ」という確信めいたものが私にはありました。メーカーのサービスマンに嶋津さんへのトレーニングをお願いしたところ「社長、本気で言っていますか?」と驚かれたのを良く憶えています。印刷機が置いてあるのは1階の工場で、私が普段仕事をしているのは2階の事務所ですから、トレーナーからどんなことを教えてもらっているのかを私が知る由もありませんでしたが、仕事を終えてタイムカードを押す、嶋津さんの指先がインクで真っ黒になっていたところをみると随分と大変だったのだと思います。今では印刷機械をバラして組立て直せるほどになり、頼もしい会社の柱に成長をしてくれました。私は「この仕事は女性には無理だ」と初めから決めつけるのではなく、女性こそ会社にとって重要な戦力と位置づけ「あなたは会社にとってとても大切な財産です。あなたに期待をしています。」と言葉に出して本人にしっかりと伝えてあげれば、どこの会社でも、どんな仕事でも期待する以上の成果や力を発揮してくれると思っています。嶋津さんは会社では工場長という役職を任せていますが、一歩会社を出るとお母さんでもあるわけです。やむを得ず残業などで遅くなってしまう場合は、子供たちがさみしい想いを我慢しているのではないか…と心配をすることもあります。
だからこそ子供たちが悲しむことがないように、お子さん、旦那さんなど家族のみんなに恩返しができる会社にしていきたいと思ってやってきました。子供のため、家族のため、会社のためと社員たちはより一生懸命に働いてくれています。ですから、子供たちや家族のみんなが「この会社で働いていて良かった」。そう思ってもらえる会社にしないといけない。自分たちが成長して、その力で会社も成長して、一緒に働いているみんなで幸福(しあわせ)になろう。きっと社員のみんなも私と同じ気持ちで働いてくれていると思います。